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MACHINEは走る芸術 【1992年式 KAWASAKI GPZ900RA9】 整備誌
GPZ900R エンジン シリンダーヘッド分解編
GPZ900R 汚れた排気ポート
ものすごくきたない!カーボンが堆積している排気ポート。
しかもシリンダーブロックも塗装が白けてなんだか可愛そうに見えてきます。

そうです!未だ触っていない未知なる領域。エンジン内部。
車体側は全てやりました。やり尽くしました。ベアリングもものすごく軽く動いてくれます。しかもたっぷり上等グリスを塗り込んでいますから。

やっていないのはエンジンだけ。今、別にエンジンが不調なんじゃありません。むしろ完調です。軽く元気にガンガン廻ります。
でもね、エンジンはある総走行距離に達して、完調な時にこそフルオーバーホールすべきと云う有名な内燃機屋のお言葉があるんです。
ですから一念発起、僕もエンジンフルオーバーホールやります。
GPZ900R 排気ポート#1
#1〜#4まで、どれも似たようなカーボンの堆積です。
折角エンジンをフルオーバーホールするのだからポート研磨や燃焼室研磨、コンロッド研磨・・・色々レーサーがやることをやってみましょう!
ヨシムラST-1カムシャフト 全円分度器 シリンダーベースガスケット
部品を発注しておけばやらないわけにはいけないでしょう。
高価な部品は飾りではありません。組み付けて使ってナンボでしょう。
まずは発注した部品が届き、それを眺め、エンジン分解の気分を高めていきます。
GPZ900R シリンダーヘッドカバーの取り外し
あ、ああああぁ・・・ついに外してしまいました。
禁断のエンジン内部、入口の扉を開いてしまいました。

カムシャフトが・・・ロッカーアームが・・・今まで本やインターネットでしか見たことがなかったものが、現実に我が愛機のそれが、今眼前にあるのです。
GPZ900R 純正カムシャフトとカムスプロケット
カムホルダーを順番に外してカムシャフトをシリンダーヘッドから取外しました。
さぁ、せっかくだから外した部品はしっかり観察します。

KAWASAKI GPZ900Rはカムのカジリ、ロッカーアームのカジリがものすごく有名なMACHINEなのです。僕のは1992年式ですので20年近く経過しているわけです。
ですからこの致命傷である【カジリ】は覚悟していました。ですからカムシャフトの交換を考えた対策を講じていたわけです。
しかし、カジリは全く見られませんでした。全然ないんです。

何故カジッてないんだろう・・・。
カジル理由はなんだろう?
考えました。答えはエンジン構造と駐車時の車体姿勢にあることを推測しました。

このエンジンは左側にカムチェーントンネルがあります。つまりエンジントップからクランクシャフト左端まで空洞なんです。
オートバイは左側にサイドスタンドを設けていますから、駐車時は必然的に左側に傾斜した状態になるわけです。
これでどうなるかですが、シリンダーヘッドに溜まっているエンジンオイルが、次の始動時にはカムチェーントンネルを落ちてしまい、エンジン始動時にカムシャフトやロッカーアームフェイス面にはエンジンオイルが全くなく切れてしまっている!
と云うことなんです。
ですから金属同士の打刻になりお互いがお互いをカジってしまう。

僕は購入してから保管は必ずレーシングスタンドに掛けています。フロント・リアともに上がりますので水平保管になるんです。
つまりシリンダーヘッドには必ずエンジンオイルが残った状態で次の始動が行われてきたと云うことです。ですからカジってないんです。
GPZ900R ロッカーアームとバルブ
ものすごく綺麗なロッカーアームスリッパー面です。打刻キズは全くありません。
GPZ900R ロッカーアーム拡大
このロッカーアームをカムシャフトがガンガン叩いているのです。ですからクリアランスが大きかったりすると・・・カジリます。
GPZ900R ピストントップ
長いこと爆発と圧縮圧力に耐えてきてくれたノーマルピストンTOPです。
カーボンが堆積しているのがわかります。
純正の『ART製』908ccピストンですので、表面は凸凹しています。ツルツルでしたらカーボン堆積も幾分かは抑えられるでしょうが、コストがかかるので純正の表面はこんなものでしょう。
GPZ900R ピストントップ拡大
ものすごくカーボンが堆積しているわけではありませんが、知らないふりをしてこのまま乗り続けていたら・・・カーボン堆積による蓄熱で以上爆発を起こし、エンジン終わってしまいます。
GPZ900R バルブの取り外し
ロッカーシャフトを外すと、ロッカーアームがポロッと取れます。そうするといよいよバルブの取り外しです。
【バルブスプリングコンプレッサー】と云う特殊工具を使ってバルブスプリングを縮めていきます。そうするとコッターが出てきますのでこれを磁石棒を使って取り除きます。
コッターが外れれば後は簡単です。スポッとバルブが落ちてきます。

この時バルブを回転・上下させてみてバルブガイドなどに引っかかりがないかチェックしておきます。且つ外したバルブには番号を付けて元の場所に組み付けれるようにしておきます。
GPZ900R バルブ構成部品
我が愛機はDOHC16バルブですので吸気バルブ8本、排気バルブ8本があります。
吸気バルブは黒くコールタールのようなものが付着していますが簡単に洗浄できます。しかし、排気バルブは・・・洗浄できません。白く焼けてなんかセラミックスのようになっています。
ガソリン中や大気中の有機化合物が高温で焼結されてまるで陶器のようになったのでしょう。

もう、これは研磨しかありません。しっかり磨いて磨いて磨き倒します!
GPZ900R 取外されたバルブ
どうです?きたないでしょう。でも磨けばものすごく綺麗になるんです。
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